投稿日時:2017年04月24日(月) 14:01

愛媛展、彫り下し作品から。

現在、開催中の愛媛展。全85点のなかに、いわゆるご当地作品が、11点含まれている。愛媛に住むひとびとも、お馴染みの風景を描いた作品に、興味津々。そこで、その作品のなかから『星指す来島海峡大橋』(49×62 cm)を紹介しよう。まず驚くのは、橋や海にかかる黄色いイルミネーションである。目に飛び込んでくるばかりの“黄色”のきらめきは、絵であることを忘れさせるほどの、輝き。小さいころ、父や近所の大人たちと行った漁り火に覚えのあるひとは懐かしさを込めて感動するはずだ。

この作品のポイントは、やはり“黄色”のメッセージだろう。タイトルには、“星指す”とあり自然の荘厳さを歌っているが、ぼくには、その荘厳さは、“人間の感情”まで届く灯りのように映る。作家は、黄色をフィルターにして、“人間の哀しさ”を届けようとしているのだ。前にも書いたが、これはゴッホに通ずる“絵のこころ”ではないだろうか。

異郷の地で、“人間の懐かしい感情”を描き切っているのが、この絵の素晴らしいところだろう。

※この『星指す来島海峡大橋』が見られる「名嘉睦稔展」(風の伝言を彫る)は、愛媛県美術館で現在、開催中。5月7日まで。お近くにお寄りの際は、ぜひ足を伸ばしてください。

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