投稿日時:2015年11月16日(月) 15:06

おしゃべりQ館長 その37

人間への手紙(OQ37)

 7年前ころだとおもう。美術家の横尾忠則さんの関係者が伊是名島に寄った際、名嘉睦稔と横尾さんを会わせたがっているという話を聞いたことがある。そのときぼくは、横尾忠則さんと名嘉睦稔の接点が掴めずいろいろと考えたが、わからずじまいであった。ところがである。10日前くらいだろうか。なんと、その理由らしきものがやっとわかったのだ。そうは言っても、もちろんぼくの独断と偏見の「おしゃべり」なのであるが。まぁ聞いて、いやこのブログを読んでほしい。

 そもそもぼくは「シュールレアリスム芸術」(超現実主義の美術)が好きで、その手のいろんな作家をみてきた。それがたまたま先日、「フランシス・ピカビア」というシュールレアリストの作品をめくってみていた。ちなみに、この作家のキャッチフレーズは「アカデミーの奴隷状態に逆らうだけでなく、いかなる既存のドグマの奴隷となることも逆らった」(デュシャン)というもので、めまぐるしく変わるその作品の傾向は世界を驚嘆させたほどである。

 そのピカビアの作品『スフィンクス』(1725年)を観てぼくは、びっくりした。この『スフィンクス』という作品にボクネンの『生きものへの手紙』(2012年、万象連鎖シリーズ)を連想させるなにかが感じられたのである。つまりピカビアの作品と『万象連鎖』の作品群との間になにかが底通しているように思えたのだ。ここで、そのピカビアの作品をこのブログでお見せしたいのだが、いろいろと難しいのでみなさんはネットで検索してみてください。

 そこで、さっそくフランシス・ピカビアをウィキペディアで調べてみたら、なんと「横尾忠則さんはピカビアに私淑し(ししゅく。師事すること)、ピカビアの作品をモチーフにした作品を制作している」と書いてあるではないか。それと、ピカビアはボクネンのようにいろんな絵をスタイルごとに描き分け、作品の特徴も時代ごとにわけて8つほどに分けられるというのもボクネンと似ているのだ。

 ここで、なにかが浮かび上がってくるのではないだろうか。つまり、7年前に横尾忠則さんの関係者がボクネンに会わせたがっていた理由というのは、ボクネンの『万象連鎖』シリーズ作品に、ピカビアを想起させるなにかを感じていたからではないかということである。まぁ、これもぼくの推測にすぎないのだが、それにしてもピカビアとボクネンはなにかが結びあっている気がしてならないのである。

 みなさんも、今一度ピアビアの『スフィンクス』とボクネンの『万象連鎖シリーズ』を見比べてはいかがだろうか。

人間への手紙(OQ37)

『人間への手紙』