投稿日時:2015年06月15日(月) 14:20

おしゃべりQ館長 その20

OQ表紙

 昨日の6月7日。Eテレで『「マネジメントの父」が愛した日本の美』という番組があった。マネジメントの父とは、経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッガー(1909〜2005)のことである。深くにもぼくは、彼が企業経営の達人であることは知っていたが、まさか日本の室町時代の山水画や江戸時代の禅画、文人画などの水墨画どのファンであり、しかも造詣が深いなどということはまったく知らなかった。

 ドラッガーは世界的な経済書を世に問いながら、半世紀にわたって日本美術の200点あまりをコレクションしたという。その努力がみのって70歳のころ『日本美術へのラブレター』という評論書を出版したというのである。彼が番組で言っていたことは、日本美術がじぶんの人生に与えた図り知れない影響や、また日本美術が世界的にみていかに貴重なものだったかということであった。

 彼は優れた世界的な名著を出版しながら、美術においてもたゆまぬ研究をしていたことになる。そこに原因があるのだろう。ドラッガーの経営マネジメントは意表をつき、本質まで行き着く。たとえば、世によく知られる彼の言説に「企業は何かと問われると、たいていの企業が利益を得るための組織と答える。たいていの経済学者もそう答える。この答えは間違いであるだけではない。的外れである」というのがある。この鋭い言説を読むと、彼が経営に哲学や思想を導入していることがわかる。つまり、ここにこそ「経営と美術」の接点があるのだろう。

 ところで、みなさん。ボクネンもそう言えば、「経営者と美術家」を両輪として実社会で活動している。ドラッガーの「経営と美術」をもっと追求すれば、ドラッガーとボクネンの共通項が見えてきそうだ。それにしても、優れた思想家と言われるひとたちの視点というのは、とんでもないところで光り輝き、隠れているものだ。