投稿日時:2014年12月19日(金) 17:54

ばんばんニュース 第22号

版版ニュース2

今月12月15日、伊是名島は尚円通水節公園で「尚円王乗馬像」の除幕式がありました。これは尚円王生誕600年を記念して設置されたものです。もちろん像をつくったひとは、ボクネン。以前にも「尚円王像」をつくりましたから、覚えているひとも多いはずです。今回の「乗馬像」は、かねてから石川県にあるブロンズ制作会社に入り込みモデリングを続けていました。その乗馬像がいよいよ、伊是名島にやってきたのです。

さてボクネンとスタッフは式典の前日に入り、乗馬像(700kg)を巨大な本部石灰岩(17トン)に据え付ける仕事にてんやわんや。夕日が落ちるころには尚円の後ろ向きの頬にうっすらと陽があたり、なんとか翌日の除幕式には間に合いそうと、スタッフが胸をなでおろしました。

翌日の除幕式も小雨を心配しながらの状態。それでも会場では「通水節」(かいみじぶし)の古典音楽が流れたり、神社宮司によるお祓い、除幕などと恭しい儀式が執り行われました。挨拶では作像者であるボクネンが、乗馬像の制作の苦労を話し、当初、時代考証にもとづいて実寸にするつもりだったのだが、実際には迫力をだすために拡大したことを説明。そして「この乗馬像が島民みんなの共有するものになり、島が発展していく象徴のようになればいいとおもう」と話しました。

ところで今回の乗馬像にはユニークなところがあります。それはこの彫像のモチーフなのではないでしょうか。つまり19歳か20歳の松金(尚円)が、勢理客にいる恋人を送っていった帰りのことが情景です。諸見に帰る途中で彼女のいる勢理客の方向を振り返っている瞬間を像にしていることです(このイメージは古典音楽の『通水節』に歌われています。「尾もち栗毛に我無蔵うち乗して通水の山やゆびる越たる」)。普通、彫像と言えば、どこか遠くを指差していたり(まさに前回の尚円王像がそうでした)、整然と椅子に座ってかまえていたりして、いわゆる偉大な指導者のイメージが定番です。ところが、この乗馬像はそうではありません。誰でも一度は経験があるだろう「恋の気持ち」を題材にしているのです。これまで銅像と言えば、偉大な歴史的人物を褒めたたえるものが一般的でしたが、この乗馬像のように「偉人でも普通の恋をした」というテーマがなんとも「ボクネン」らしいのかも知れません。

それから今回の伊是名島出張では、こんなこともありました。当初ボクネンスタッフは17日に島を離れる予定でした。ところが17日18日とも天候不良で予定日には帰れない情報が入ってきました。そこで急遽15日、除幕式が終わった足で、そのまま港に向かうことになったのです。

いま考えると、海の荒れは金丸(尚円)の恋の胸騒ぎだったのかも知れません…。

それでは、次にフォトドキュメントをどうぞ。

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伊是名島仲田港に到着した「尚円王乗馬像」。村長、尚円太鼓の若者たち、村民がにぎにぎしく迎えてくれました。港には象(?)でも入っているような不思議な雰囲気が蔓延。尚円の到着に、みなさん厳粛なようすでした。

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 港では尚円太鼓の少年少女たちが弾ける太鼓で歓迎の気持ちをあらわしました。来島した松金(尚円)も鳴り響く若き躍動にびっくりしたに違いないでしょう。ひとりの少年はカメラマンに「ぼく、写して、写して」と連発。まさに、八方破れの「尚円太鼓」でした。

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 整備中の「尚円王通水節公園」に松金(尚円王)が到着。まだ、ベールを脱いでない「乗馬像」。公園で待っていた関係者も、今か今かと待ちわびるようすです。するとクレーンが静かに松金(尚円王)に忍び寄ってきました。

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 収納箱が壊され、いよいよ乗馬像がビニールを被ったままで、その姿を徐々に現してきました。作業員たちは乗馬像に傷をつけないように慎重にクレーンを誘導しています。

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 ビニールが完全に剥がされ、全身像を現した「尚円王乗馬像」。台座の岩にはしっかりと枠が象られています。ちなみに台座岩の重さは今帰仁村の河から運んできたもので、なんとその重量17トンも。それでも当初は30トンもあり、切り取ったものです。それと銅像の重さが700kg。スタッフも慎重にならざるを得ない状況ですよね。

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 乗馬像を設置するために台座の切り込み面をセメントでならしています。ならしているのは、なんとボクネン。最初静かに見守っていましたが、ついに我慢できなかったようす。しかしその手さばきには、業者も驚いたようで、みんな「うむうむ」とうなりどうしでした。

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 小雨の心配もあるなかで、なんとか設置を終えて安心したようすの面々。これで明日の除幕式にはなんとか間に合います。

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 除幕式の当日。空も伊是名晴れで、宮司による神事が厳かに始まりました。周囲にはマスコミや関係者が映像におさめようと賑わいをみせています。

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 いよいよ除幕の瞬間。代表七人がその役目を果たしてくれました。左から城間雨邨氏(銘板揮毫者)代理山川健二氏、ボクネン、尚家・伊井家代表伊井直久氏、真栄田政義村長、伊是名村議会議長前川清氏、伊是名村郷友会会長仲田輝亨氏、考証者高良倉吉氏の面々。

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 ついに設置された「尚円王乗馬像」。遠く左に見えるのは伊平屋島。右側の山はメンナーです。このロケーションは最初から、伊平屋島が乗馬像のバックに入ることが条件に入れられていたそうです。伊是名の自然をぞんぶんに取り込んだ設置ですね。

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 設置後のボクネンのあいさつ。前回作像した「尚円王の像」と違って、今回の「乗馬像」は恋する青年をモチーフとして創作したと説明しました。偉大な人物も恋をした若者に変わりなく、全体的な人間像としての「尚円王」を表現したと話しました。

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 最後の記念撮影。それにしても、松金(尚円王)は勢理客の愛しいひとが気になるらしく最後まで正面を向いてくれませんでした。

  伊是名に行ったときには、是非ご鑑賞くださいね。