投稿日時:2011年10月28日(金) 17:50

おしゃべりQ館長 その3  

OQ表紙
〜「ボクネン美術」は、どこへ行く〜
 ボクネンが版画を始めてもう20年あまり。これまでの作品を大まかに見ながら、「これまで」と「これから」を考えてみませんか。
 まず、「これまで」。ざっと1800点ちかく。たいへんな量です。単純に計算して年間90作品。月8作。週2作。4日に1作品を彫っているんですね。しかしそれにしても「版画」はいっぺん版木に彫りあげて刷り、それから裏からアクリルで塗りますから時間がかかります。小さい作品はまぁ、いいとして。横4メートル縦2メートルの大きさとなると、大変な作業。まぁ、こんな大小合わせて、この作家はたくさんの作品をつくってきたんですね。ちなみに計算によると3年ちょっとで2000点に到達ということに…。点数がどうのこうで褒めたたえるのは、いけません。ただ、この作家は「たくさんたくさん彫って、そのなかからしか満足の得られるものは出ないよ。それでも、まだまださ。まぁ彫り続けるしかないよ」と言って笑うばかり。とにかく、この作家は前に進むことしか考えてないようです。
 さて、この作家の「これまでの」代表作をぼく流に乱暴に言えば、『節気慈風』と『大礁円環』の畳12畳の分の大作2つ。そして『万象連鎖シリーズ』という連想で絵をつなげていく作品たちになるのではないでしょうか。ぼくの考えでは『節気慈風』と『大礁円環』は自然を描くことで、作家は自然になっていき、自然はまた作家になっていくということなのだと思います。おかしなことを言うヤツだと言うかもしれませんが、実際この作家は「自然になりたい」のだと思います。その証拠に山や海に入れば、めったなことがない限り出て来ないのですから。
OQ3.jpg
 さて『森羅万象シリーズ』です。これは連想する絵をつなげていくことで、「じぶん」のこと、「じぶん」の人生に向かっているのだと思います。絶対に他人のためではありません。はっきり言えば「じぶん」を癒しているのです。そのあと誰が感動しようが、これは別の問題です。とにかく「じぶん」を彫っているんですね。
 さて早過ぎるかも知れませんが、結論めいたことを言いますね。ここで私たちは『節気慈風』『大礁円環』、そして『万象連鎖シリーズ』をこれまでの準備作業として、新たな大きな仕事をこの作家に期待したいのです。それは『地球の爆発』を描くことではないでしょうか。この作家にしかできない仕事のような気もするものですから。その『地球の爆発』のエネルギーはきっと、私たちが忘れた大きな「地球の力」を見せてくれる気がするのです。
 尾ひれをつけるわけではありませんが、もしこの作品が完成すれば、東北大震災や、いま地球で起こっているいろんな自然災害を乗り越える「心のヒント」になるような気がしてならないんですね。今日は大きなことを言い過ぎたかも知れません。でも期待したいなぁ。
 『地球の爆発』。楽しみです。[掲載作品:『節気慈風』(部分)]    (當山)